必携!すべての中小企業のパスポート。経営力向上計画書。法人税・固定資産税の減税、金融支援、補助金支援

経営力向上計画とは

「経営力向上計画」とは、中小企業が人材育成、コスト管理、設備投資などでマネジメント力のアップを行うための計画で事業別の主務大臣に申請し、認定を受けることにより、4つのメリットを受けることができます。

  1. 固定資産税の特例…設備投資に関して固定資産税が3年間1/2減額
  2. 中小企業経営強化税制…法人税の即時償却
  3. 金融支援…日本政策金融公庫等の低利融資、保証協会付き融資の保証枠の拡大
  4. 補助金支援…各種補助金の優先採択

固定資産税の減税

制度の概要

①中小事業者等が、②適用期間内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき③一定の設備を新規取得した場合、固定資産税が3年間にわたって2分の1に軽減されます。

条文:地方税法附則第15条第43項(固定資産税等の課税標準の特例)

① 中小事業者等とは?

  • 資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
  • 資本金もしくは出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
  • 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人

ただし、次の法人は、たとえ資本金が1億円以下でも中小企業者とはなりません。

  1. 同一の大規模法人(資本金もしくは出資金の額が1億円超の法人又は資本金もしくは出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人超の法人)から2分の1以上の出資を受ける法人
  2. 2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人

② 適用期間とは?

平成29年4月1日から平成31年3月31日までの期間

③ 一定の設備とは?

経営力向上設備等の要件

下の表の対象設備のうち、以下の2つの要件を満たすもの

  1. 一定期間内に販売されたモデル(最新モデルである必要はありません)(中古資産は対象外です)
  2. 経営力の向上に資するものの指標(生産効率、エネルギー効率、精度など)が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備

要件1、2について、工業会等から証明書を取得する必要があります。

対象設備
設備の種類 用途又は細目 最低価額
(1台1基又は一の取得価額)
販売開始時期
機械装置 全て 160万円以上 10年以内
工具 ※1 測定工具及び検査工具 30万円以上 5年以内
器具備品 ※1 全て 30万円以上 6年以内
建物附属設備 ※1、2 全て 60万円以上 14年以内

※1 工具・器具備品・建物附属設備については、一部の地域において対象業種に限定あり。
※2 償却資産として課税されるものに限る。

法人税の減税

制度の概要

青色申告書を提出する①中小企業者等が、②指定期間内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき③一定の設備を新規取得等して④指定事業の用に供した場合、即時償却又は取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択適用することができます。

条文:租税特別措置法

第10条の5の3(特定中小事業者が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除)【所得税】
第42条の12の4(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)【法人税】
第68条の15の5(中小連結法人が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)【連結法人】

① 中小企業者等とは?

  • 資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
  • 資本金もしくは出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
  • 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
  • 協同組合等

ただし、次の法人は、たとえ資本金が1億円以下でも中小企業者とはなりません。

  1. 同一の大規模法人(資本金もしくは出資金の額が1億円超の法人又は資本金もしくは出資金を有しない法人のうち、常時使用する従業員数が1,000人超の法人)から2分の1以上の出資を受ける法人
  2. 2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人

② 適用期間とは?

平成29年4月1日から平成31年3月31日までの期間

③ 一定の設備とは?

類型 生産性向上設備(A類型) 収益力強化設備(B類型)
要件 生産性が旧モデル比年平均1%以上向上する設備 投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備
確認者 工業会等 経済産業局
対象設備 ◆機械装置(160万円以上/10年以内)
◆測定工具及び検査工具(30万円以上/5年以内)
◆器具備品 ※1 (30万円以上/6年以内)
◆建物附属設備 ※2 (60万円以上/14年以内)
◆ソフトウエア ※3 (情報収集機能及び分析・指示機能を有するもの)(70万円以上/5年以内)
◆機械装置(160万円以上)
◆工具(30万円以上)
◆器具備品 ※1 (30万円以上)
◆建物附属設備 ※2 (60万円以上)
◆ソフトウエア ※3 (70万円以上)
その他要件 生産等設備を構成するものであること(事務用器具備品、本店、寄宿舎等に係る建物附属設備、福利厚生施設に係るもの等は該当しません。)/国内への投資であること/中古資産・貸付資産でないこと等

※1 電子計算機については、情報通信業のうち自己の電子計算機の情報処理機能の全部又は一部の提供を行う事業を行う法人が取得又は製作をするものを除く。医療機器にあっては、医療保健業を行う事業者が取得又は製作をするものを除く。
※2 医療保健業を行う事業者が取得又は建設をするものを除く。
※3 複写して販売するための原本、開発研究用のもの、サーバー用OSのうち一定のものなどは除く(中促と同様)。

④ 指定事業とは?

農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、建設業、製造業、ガス業、情報通信業、一般旅客自動車運送業 、道路貨物運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、倉庫業、港湾運送業、こん包業、郵便業、卸売業、小売業、損害保険代理業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの)

  • (注1)中小企業投資促進税制及び商業・サービス業・農林水産業活性化税制のそれぞれの対象事業に該当する全ての事業が中小企業経営強化税制の指定事業となります。
  • (注2)電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、娯楽業(映画業を除く)等は対象になりません。
  • (注3)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業に該当するものを除きます。

適用手続き

A類型:生産性向上設備

生産性向上設備の要件

下の表の対象設備のうち、以下の2つの要件を満たすもの

  1. 一定期間内に販売されたモデル(最新モデルである必要はありません)
  2. 経営力の向上に資するものの指標(生産効率、エネルギー効率、精度など)が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備(※)
    ※ソフトウェアについては、情報収集機能及び分析・指示機能を有するもの

要件1、2について、工業会等から証明書を取得する必要があります。

対象設備
設備の種類 用途又は細目 最低価額
(1台1基又は一の取得価額)
販売開始時期
機械装置 全て 160万円以上 10年以内
工具 測定工具及び検査工具 30万円以上 5年以内
器具備品 ※1 全て 30万円以上 6年以内
建物附属設備 ※2 全て 60万円以上 14年以内
ソフトウエア ※3 設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び分析・指示機能を有するもの 70万円以上 5年以内

※1 電子計算機については、情報通信業のうち自己の電子計算機の情報処理機能の全部又は一部の提供を行う事業を行う法人が取得又は製作をするものを除く。医療機器にあっては、医療保健業を行う事業者が取得又は製作をするものを除く。
※2 医療保健業を行う事業者が取得又は建設をするものを除く。
※3 複写して販売するための原本、開発研究用のもの、サーバー用OSのうち一定のものなどは除く(中促と同様)。

B類型:収益力強化設備

収益力強化設備の要件

下の表の対象設備のうち、以下の要件を満たすもの

年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれることにつき、経済産業大臣(経済産業局)の確認を受けた投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備

上記の要件について、経済産業局から確認書を取得する必要があります。

対象設備
設備の種類 用途又は細目 最低価額
(1台1基又は一の取得価額)
機械装置 全て 160万円以上
工具 測定工具及び検査工具 30万円以上
器具備品 ※1 全て 30万円以上
建物附属設備 ※2 全て 60万円以上
ソフトウエア ※3 設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び分析・指示機能を有するもの 70万円以上

※1 電子計算機については、情報通信業のうち自己の電子計算機の情報処理機能の全部又は一部の提供を行う事業を行う法人が取得又は製作をするものを除く。医療機器にあっては、医療保健業を行う事業者が取得又は製作をするものを除く。
※2 医療保健業を行う事業者が取得又は建設をするものを除く。
※3 複写して販売するための原本、開発研究用のもの、サーバー用OSのうち一定のものなどは除く(中促と同様)。

投資利益率の計算について

年平均の投資利益率は、次の算式によって算定します。

「営業利益+減価償却費※1」の増加額※2

設備投資額※3

※1 会計上の減価償却費
※2 設備の取得等をする年度の翌年度以降3年度の平均額
※3 設備の取得等をする年度におけるその取得等をする設備の取得価額の合計額

投資計画の策定単位について

投資計画の策定単位は、収益力強化設備の導入の目的(=事業の生産性の向上に特に資すること)に照らして、必要不可欠な設備の導入に係るものであり、その設備から投資利益率を算定する際に、追加的に生じる効果を正確に算出するために必要最小限の単位が、投資計画の策定単位です。

(例)工場の生産ラインの改善投資→生産ライン単位(工場全体に効果が出る場合は工場単位)

金融支援

①日本政策金融公庫による低利融資

日本政策金融公庫から経営力向上計画の認定を受けた設備投資に必要な資金について、低利融資を受けることができます。

  • (イ)貸付金利・・・設備資金について基準利率から0.9%引下げ
  • (ロ)貸付限度額・・・(中小企業事業)7億2000万円(うち運転資金2億5000万円)、(国民生活事業)7200万円(うち運転資金4800万円)
  • (ハ)貸付期間・・・設備資金20年以内、長期運転資金7年以内(据置期間2年以内)

②中小企業信用保険の特例

中小企業者は、経営力向上計画の実行※1 にあたり、民間金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等とは別枠での追加保証や保証枠の拡大が受けられます。

※1新商品・新サービスなど「自社にとって新しい取組」(新事業活動)に限られます。

補助金支援

ものづくり補助金の採択の際に経営力向上計画の認定を受けていると加点され、認定を受けていなければ補助金を受けることはほぼできません。

対象となる企業

認定を受けられる企業は、下記の資本金または従業員数のいずれかを満たす者とされており、ほとんどの中小企業は該当します。

・会社または個人事業主
・医業、歯科医業を主だる事業とする法人(医療法人等)
・社会福祉法人
・特定非営利活動法人
資本金 右欄の上下どちらかで判断 10億円以下
従業員数 2000人以下 2000人以下
  1. 個人事業主
  2. 株式会社、合同会社、有限会社などの会社
  3. 一般社団法人
  4. 医療法人
  5. 社会福祉法人
  6. 特定非営利活動法人
  7. 企業組合など

経営力向上計画書の作成方法

STEP1日本標準産業分類で該当する事業分野を確認する。

STEP2事業分野に対応する事業分野別指針を確認する。

  • 事業分野別指針が策定されている事業分野(業種)については、その指針を踏まえて策定する必要があります。
  • 事業分野別指針が策定されていない事業分野については、「基本方針」を踏まえて経営力向上計画を策定します。

STEP3事業分野別指針(または基本方針)を踏まえて経営力向上計画を策定し、各事業分野の主務大臣に計画申請書を提出する。

  • 各業種ごとの申請書記載例はこちら
  • 事業分野別指針及び基本方針はこちら

税制支援を受ける場合の注意点

経営力向上計画書の認定を受ける前に取得した設備については、原則として固定資産税や法人税の特例の適用を受けることはできません。認定を受けた後に取得することに注意が必要です。

経営力向上計画書の作成サポート費用

20万円(税別)